読者インタビュー③家族に支えられ、見つけた“本当の自分”─男性更年期で得た、かけがえのない気づき
予想もしなかった突然の体調不良――タケチさんは、42歳でその波に飲み込まれました。
男性更年期障害。
聞き慣れないこの言葉が、ある日突然、自分の人生に重くのしかかってくるとは想像もしていませんでした。
仕事や家族、そして何よりも自分自身を見失いそうになりながら、苦しみの中でようやく見つけたのは「一人ではない」という安心感と、自分を支えてくれる家族の存在の大きさです。
症状に苦しむ日々を経て得た“気づき”と、家族との絆を深めた経験は、タケチさんの人生にどのような変化をもたらしたのでしょうか。
心の奥に触れるインタビューから、その道のりを追います。
タケチさんのリアルトークに触れることで、同じように悩む方々に光を届けるだけでなく、あなた自身も新たな気づきを得られるでしょう。
タケチさんの歩んだ道が、きっとあなたに力強いインスピレーションを与えてくれるはずです。
それでは、早速どうぞ!!
タケチさん。この度は、お忙しい中、インタビューを受けてくださり、本当にありがとうございます。心から感謝いたします。
まずは、今回インタビューを受けてくださったタケチさんをご紹介させていただきますね。
現在44歳(2024年11月時点)、2児(2人とも女の子)の父親。広島県在住。
42歳の時に急激な体調不良により泌尿器科を受診し男性更年期障害と診断される。
その4,5年前から時々めまい、頭痛、頻尿、動悸、などの体調不良を感じてはいたが原因がわからないまま生活をしていた。
現在は3週に1度のペースでテストステロン補充療法を受けながら生活している。
それでは、早速インタビューをさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
心に芽生えた不安─家族に支えられた一歩
「誰かに話を聞いてもらうだけで、随分気持ちが楽になる。」タケチさんは、信頼するパートナー(奥様)さんに自然と心を開き、その一歩で得られた安心感が心を軽くしました。
男性更年期障害の症状が出始めたとき、最初に相談した相手はどなたでしたか?
はっきりとは覚えていませんが、おそらく妻だったと思います。
パートナー(奥様)さんに相談されたんですね。
男性って、特に健康問題になると誰にも相談できず一人で抱え込むことが少なくないと思いますので、パートナー(奥様)さんに相談するって、とても勇気がいることだったのではないでしょうか。逆に心配かけちゃうとか考えたりして。
でも、身近に信頼して相談できる相手がいるということは、とても安心できたのではないかと思います。
実際に、パートナー(奥様)さんに相談されてみて心境等の変化はございましたか?
常日頃から比較的自分は一人で抱え込むことなく誰かに相談する方なので、妻にもあまり気にせず相談したように思います。心境の変化なのかはわかりませんが、誰かに話を聞いてもらうだけで随分気持ちが楽になりました。
「気持ちが楽になった」というお話、本当に共感します。パートナー(奥様)さんに話せるって、特別な安心感がありますよね。気持ちを聞いてくれる存在がそばにいるだけで、どれだけ心が軽くなるか…パートナー(奥様)さんもきっと、信頼して打ち明けてくれたことは嬉しかったと思います。このことが、お二人の絆をさらに深めたのではないでしょうか!
忍び寄る体調不良と向き合う─見えない敵との闘い
めまい、動悸、不眠…日常に忍び寄る体の不調が彼の生活を脅かしました。出口の見えない不安の中、タケチさんはどう自分を保ち、見えない敵に挑み続けたのでしょうか。
男性更年期障害では、どのような症状がありましたか?
めまい、頭痛、頻尿、動悸、呼吸苦、不眠、イライラ、多汗など、多くの症状に悩まされました。
めまいや頭痛から、動悸や不眠まで、かなり多くの症状に悩まされたんですね。大変、お辛かったと思います。特にお辛かった時期は、どの症状が一番苦しかったですか?その時、日常生活やお仕事に、どのような影響が出ましたでしょうか?
不眠でしょうか?横になるまでは眠気を感じるのですが、いざ横になると脳が覚醒するんですよね。夜ほとんど眠れないので仕事中は毎日フラフラしていました。
不眠が毎日の仕事にまで響くほどだったなんて、本当に辛かったですね…。横になっても眠れない夜、どれだけ不安で孤独だったか想像するだけで胸が痛みます。自分の体が思うようにいかないもどかしさ、どうか無理せず、少しでも心と体が安らげる日が増えることを心から祈っています。
続いてですが、男性更年期障害と診断される前に、他の病気と誤診された経験はありますか?
男性更年期障害と診断される4,5年前から、めまい、頭痛の症状が出始め、脳神経外科を受診した際に、筋肉のコリがひどく自律神経の乱れが原因ではではないかと言われ、デパスを処方されたことがあります。デパスは離脱症状がひどく、現在はだいぶ減薬出来ましたが未だに少量飲み続けています。医者の言うことを鵜呑みにせず、よく調べて服用すればよかったと後悔しています。
デパスとは、抗不安薬ですね。デパスには、筋肉の緊張緩和効果もあることから処方されたということみたいですね。
デパスの離脱症状がお辛かったとのことですが、具体的にどのような離脱症状があったか、教えていただけますでしょうか?
また、医者の言うことを鵜呑みにせず、よく調べて服用すればよかったと感じたとのことですが、どのような点で後悔されましたでしょうか?
デパス(一般名:エチゾラム)は、ベンゾジアゼピン系の抗不安薬で、GABA(γ-アミノ酪酸)A受容体に作用して、中枢神経系の抑制を強化します。これにより、過剰な神経活動を抑制し、抗不安、抗けいれん、鎮静、筋弛緩の効果をもたらします。特に、不安障害、パニック障害、うつ病に伴う不安や緊張の緩和に使用され、さらに、筋緊張の緩和や自律神経失調症にも効果的です。
エチゾラムは、ベンゾジアゼピン系の中でも短時間作用型に分類され、効果が迅速に現れるため急性不安や一時的な不眠症状に適しています。ただし、長期使用や高用量での服用によって耐性や依存性が生じるリスクが高まるため、治療期間の管理や漸減が推奨されます。また、急な中止は離脱症状を引き起こす可能性があるため、医師の指示のもとでの服用が必要です。
確かに薬を飲むと、首や肩の凝りが楽になるのですが、薬が抜けてくると、頭が詰まったように重くなりフラフラし始めます。ある時期から、これは薬による離脱症状の影響ではないかと思うようになりました。今では離脱症状を抑えるために薬を飲んでいるように感じています。このようになることがわかっていれば、最初から運動や生活習慣を整えるなど薬に頼らない方法を積極的に取り入れれば良かったと後悔しています。
離脱症状は、精神薬のリスクと言いますか、デメリットの部分ですよね。処方する医師や薬剤師の方も、このあたりについての説明は十分とは言えないのが現状だと思います。だからこそ、我々患者側がしっかりと学ぶことが重要になりますよね。症状が出て、苦しいときはそんな悠長な事言っていられないという現実もありますので、なかなか難しい時もありますが、タケチさんのこのご経験が、他の方々に活かされることを心から願っています。ありがとうございます。
ずばり、診断を受けたときの気持ちはどうでしたか?
男性更年期障害に行き着くまでに、いろんな科を受診しては異常なしの連続だったので、正直原因がはっきりして安心しました。
お辛かったですね。私も10年「診断難民」として、あらゆる科を受診しまくりましたので、その辛さ、とてもよくわかります。様々な症状があり、色々な科を受診しながらも、長い間、男性更年期障害が原因であることが分からなかったとのことですが、どのようなことがきっかけで、男性更年期障害の検査をされたのですか?ご自身で、男性更年期障害の可能性を疑っていた、医師からの男性更年期障害検査を勧めなどがあったなど、そのきっかけについて教えていただけますか?
はっきりとは覚えていないのですが、自分の症状をインターネットでいろいろ調べていた時に、これ(男性更年期障害)ではないか?と思ったのが最初だったと思います。それから男性更年期障害の治療ができる病院を探し、初めて病院を受診した日に血液検査とテストステロン補充療法を両方共してもらいました。
なるほどです。最近では、男性更年期障害に関する情報も増えてきましたので、以前と比べると男性更年期障害にアクセスしやすくなったと思います。ただ、男性更年期障害の症状は、ホントに多種多様なので、ミスリードされて、違った病気の可能性を辿り、不適切な治療に悩まされたりする方々も、まだまだ多いようです。情報が積み重なってくれば、適切なキーワード検索やAIが、ちゃんとリードしてくれる確率も高くなってきますので、そのような環境が一層整うといいですよね。
新たな希望─テストステロン補充療法がもたらした日常の変化
治療開始のその日から、タケチさんは“自分が戻ってくる”感覚を覚えます。眠れなかった夜が終わりを迎え、少しずつ生活に希望が差し込んでいく。その実感の瞬間に迫ります。
男性更年期障害の診断を受けた後は、どのような治療を受けましたか?
3週に1度のペースでテストステロン補充療法を受けています。あとは漢方薬として八味丸、補中益気湯、桂枝加竜骨牡蛎湯を処方されています。
テストステロン補充療法(Testosterone Replacement Therapy: TRT)は、男性更年期障害(加齢男性性腺機能低下症候群、Late-onset Hypogonadism: LOH)において、テストステロンが不足することによって引き起こされるさまざまな身体・精神・性機能症状を改善する代表的な治療法です。男性更年期障害では、40代から50代以降、つまり加齢やストレスによってテストステロンの分泌が減少することで、筋力低下、疲労感、性欲減退、気分の落ち込み、イライラ、不眠、集中力低下などの症状が現れることがあります。これらの症状を軽減するために、外部から直接体内にテストステロンを補充するのがTRTです。
TRTの作用メカニズム
テストステロンは、男性の健康全般において極めて重要な役割を果たしており、筋肉量の維持、骨密度の向上、性機能、さらには精神的な健康に至るまで影響を与えます。男性更年期障害では、このホルモンが低下することにより、これらの機能が衰え、生活の質が著しく低下することがあります。TRTは、テストステロンレベルを正常範囲に戻すことで、これらの症状を緩和し、男性の心身の健康を回復させることを目的としています。
TRTの方法
男性更年期障害におけるTRTには、いくつかの方法があります。以下はその代表的な方法です:
- 筋肉注射(エナルモンデポーなど)
- 数週間ごとに注射する方法で、急速にテストステロンレベルを上昇させることができますが、血中濃度が変動しやすいです。特に更年期障害の症状が重い場合に効果的です。
- 塗り薬(ジェルやクリーム)
- 毎日皮膚に塗布する方法で、比較的血中濃度が安定し、急激な効果の変動が少ないです。更年期の症状が軽度から中等度の方に適している場合があります。
- 貼付剤(パッチ):
- 肌に貼って一定時間テストステロンを吸収させる方法です。こちらも血中濃度が安定するため、日々のホルモンレベルを安定的に保つことができるため、更年期障害の治療に適しています。(日本国内ではほぼ採用されていない治療法です)
TRTの効果とリスク
効果
- 筋力・筋肉量の維持: テストステロンが減少すると筋力や筋肉量が減少することが多いため、TRTはこれを改善し、体力の回復を助けます。
- 性機能の改善: 性欲減退や勃起不全は男性更年期の典型的な症状ですが、TRTによりこれらの症状が改善されることが期待されます。
- 気分や精神面の改善: 更年期障害では不安感や抑うつ状態、イライラなどの症状がみられますが、TRTはこれらの症状を和らげ、精神的な安定をもたらすことがあります。
- 骨密度の向上: 骨密度の低下は更年期男性における重要な問題の一つであり、TRTは骨粗しょう症のリスクを軽減する効果も期待されます。
リスク
- 多血症: TRTにより赤血球数が増加し、血栓や心血管疾患のリスクが高まる可能性があります。これに対しては、定期的な血液検査が必要です。
- 前立腺の影響: 前立腺肥大や前立腺がんとの関連性については議論が続いていますが、TRTを行う際は、前立腺の状態を定期的に監視することが推奨されます。
- 不妊: TRTは精子の生成を抑制することがあり、不妊のリスクがあるため、子どもを希望している男性にとっては考慮が必要です。
TRTを受けるための条件
男性更年期障害でTRTを受ける場合、以下の条件を満たすことが一般的に求められます:
- 血中テストステロンレベルが低いことが検査で確認されていること。
- テストステロンの減少に関連する症状が明確に見られること。
- 前立腺がんの既往やリスクがないこと。
TRTは、男性更年期障害に苦しむ男性にとって非常に有効な治療法である一方で、治療中の定期的なモニタリングが不可欠です。血液検査や前立腺のチェックを行いながら、副作用を管理しつつ適切なテストステロンレベルを維持することで、生活の質を改善することが期待されます。
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八味丸、補中益気湯、桂枝加竜骨牡蛎湯は、漢方薬として男性更年期障害の症状に対応するためによく処方される薬です。それぞれ異なる作用を持ち、症状に応じた処方がされるため、ここでは男性更年期障害への効能と特性を解説します。
1. 八味丸(はちみがん)
八味丸は、主に腎機能の低下と関連する症状の改善に使われる漢方薬です。腎機能の低下は、加齢による体力の衰えや疲労感、冷え性、腰痛、頻尿などの男性更年期障害の症状に関係しています。八味丸は以下のような作用を持っています:
- 滋養強壮効果:体全体を温め、特に腎臓や膀胱の働きを改善することで、体力や精力を補います。
- 利尿作用:頻尿や夜間頻尿の症状を軽減し、特に寒さによるトイレの回数増加を抑えます。
- 血行促進:血液の流れを良くし、冷え性やむくみを改善します。
八味丸は、「腎の気」を補うことで身体全体のバランスを整えるとされ、男性更年期における倦怠感や虚弱感の緩和に役立ちます。
2. 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
補中益気湯は、体力や気力の不足を補い、免疫力や活力を高める効果を持つ漢方薬です。更年期に伴う疲労感や気力の低下、精神的な落ち込みなど、気虚(ききょ)の状態に効果的とされています。
- 体力・気力の向上:中医学でいう「気」を補う作用があり、倦怠感やだるさ、疲れやすいといった症状を改善します。
- 免疫力の強化:体の抵抗力を高め、日々の疲労やストレスに対する耐性を上げることで、心身の安定をサポートします。
- 胃腸機能の改善:食欲不振や胃腸の働きの低下にも良いとされ、体のエネルギーを安定的に供給するための消化機能も整えます。
補中益気湯は、疲労や気力の低下が目立つ男性更年期障害の方に向けて処方され、活力を取り戻す助けとなります。
3. 桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
桂枝加竜骨牡蛎湯は、神経過敏やストレス緩和に優れた効果があり、不安感や睡眠障害、イライラ感などの精神的な症状を改善するために用いられる漢方薬です。
- 鎮静作用:竜骨(りゅうこつ)と牡蛎(ぼれい)は古くから精神安定効果があるとされ、神経の高ぶりや不安感、ストレスを鎮める働きがあります。
- 睡眠の質向上:不安感や緊張からくる睡眠障害に対し、心を落ち着かせ、リラックス状態に導くことで睡眠の質を向上させます。
- イライラや気分の安定:精神的な落ち着きを取り戻し、ストレスに対する耐性を高めます。
この薬は、特に精神的な不調が顕著な男性更年期障害において、心の安定を促すために処方されることが多く、ストレスを感じやすい方の症状改善に役立ちます。
まとめ
これらの漢方薬は、男性更年期障害のさまざまな症状に対応するために、補助的または併用的に使用されることが多いです。八味丸は体力や冷え性、補中益気湯は気力と活力の回復、桂枝加竜骨牡蛎湯は不安やストレスの緩和といった、それぞれの特性に基づき、個々の症状や体質に合わせた処方が行われます。
テストステロン補充療法をされているのですね。差し支えなければ、テストステロン値の変化(具体的な数値ではなく、変化の傾向で大丈夫です)について教えていただけますか。
また、漢方薬も併用されているとのことですが、いくつかの漢方を試された中で、特に効果を実感した漢方薬や、意外な発見があれば教えていただけますか?
テストステロン値の変動は、7.2(0か月)→9.2(3か月)→5.6(9か月)→8.3(15か月)と増加減少を交互に繰り返しています。因果関係は分かりませんが、暑い時期に測定した値は低く、寒い時期に測定した値は高くなっているように感じています。漢方薬については補中益気湯を飲むようになって、倦怠感が薄くなり体が楽になってきたような感じはします。その他の漢方薬も効いているのだと思いますが、実感と してはあまり大きくはありません。
詳しくはコチラの記事で解説していますので、良かったらご参照ください。
詳細に教えてくださりありがとうございます!確かに増加減少を交互に繰り返していますね。テストステロンは、日内変動(一日の間で変動すること)はもちろんですが、年内変動、季節変動など、変動要素が多々ありますので、増加減少は普通にありますよね。ですので、「暑い時期に測定した値は低く、寒い時期に測定した値は高くなっている」というお話は、ふむふむ納得です。漢方薬や、カラダに優しいですが、効き方も優しいですものね。私も、日常的 に服用していますが、気長に付き合うようにしています。
では、治療を受けてどのような変化がありましたか?
テストステロン補充療法については、初めて受けたその日から変化がありました。就寝時のトイレの回数が明らかに減り、睡眠の質も良くなりました。その他の症状についても徐々に快方に向かっていきました。
おおおお!即日効果を感じられたのは、とても良かったですね。
メディカルデータでは、その効果が感じられるのは60%程度と言われていますので。しかも即日とは、すばらしい効果です。トイレ回数は、睡眠の質にも大きな影響を与えますので、本当に良かったです。その後も、継続して受けられていらっしゃるとのことですが、テストステロン補充療法を受けられて、現在、困ったことや、不安に感じていることなどはありますか?その困ったことや、不安に感じていることを、誰か(パートナーさんや、主治医 等)に相談されましたか?
そうですね。テストステロン補充療法を受けても効果を感じない人もいるとのことだったので、すぐに効果が表れたのは幸運だったと思います。困ったこととしては、うちには2人の子供がいるのですが、実は妻は3人目を希望していました。テストステロン補充療法の影響で私が無精子症になってしまい、断念せざるを得ない状況になってしまったことは本当に申し訳なく思っています。
そうだったのですね。効果が現れたのは幸いですが、タケチさんの治療の影響が、家族の夢に影響を与えてしまうことが、どれだけお辛かったか…でもパートナー(奥様)さんもそのお気持ち、きっと理解してくださっていることと思います。これは、テストステロン補充療法の副作用の部分ですが、実際にご経験された方のお話は、本当に貴重で、これからテストステロン補充療法を検討されている方々の道しるべにもなると思います。とくにお子様を授かりたいと願っている方々にとっては、切実ですからね。貴重なご経験をお話ししてくださり、心から感謝しております。ありがとうございました。
エナルモンデポー(テストステロン注射)は、男性更年期障害の治療で使用される代表的なテストステロン補充療法の一つですが、この治療法には無精子症(精子の産生が抑制される状態)という副作用が伴うことがあります。無精子症は、特にテストステロンを体外から補充する治療において注意すべき副作用です。
1. テストステロン補充療法と精子産生の関係
精子産生は、脳からのホルモン指令により調整されています。具体的には、脳下垂体から分泌されるゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)が視床下部から分泌され、これが黄体形成ホルモン(LH)と卵胞刺激ホルモン(FSH)の産生を促し、これにより精巣での精子産生が維持されます。
テストステロン補充療法(TRT)を実施すると、体内のテストステロンレベルが急激に上昇し、脳は自己産生のテストステロンが十分にあると誤認します。このため、脳下垂体からのLHおよびFSHの分泌が低下し、結果として精巣が精子を作るための刺激を失うことになります。この現象が、無精子症の原因となります。
2. エナルモンデポーと無精子症
エナルモンデポーのようなテストステロン注射は、血中テストステロン濃度を急激に上昇させるため、他の補充方法(ジェルやパッチ)と比べても特に強力な作用が期待される一方、ホルモンバランスのフィードバックシステムに影響を与える可能性が高くなります。その結果、長期間にわたりエナルモンデポーを使用すると、無精子症のリスクが高まるとされています。
3. 無精子症が回復する可能性
テストステロン補充療法による無精子症は、一部のケースで可逆的(治療を中止すると回復する)であるとされていますが、回復には数ヶ月から1年以上かかる場合もあります。また、長期にわたる使用や高用量のテストステロン補充は、回復を遅らせる可能性があります。そのため、妊娠を希望する場合や将来の生殖機能を考慮する場合は、治療開始前に医師と相談することが重要です。
4. 無精子症リスクを低減する代替療法
妊娠を希望する患者には、ゴナドトロピン療法(FSHやhCG注射)などの代替療法が推奨されることがあります。ゴナドトロピン療法は精子産生を促進する効果が期待でき、男性更年期障害の治療としても有効な方法の一つです。また、低用量の補充や、他の補充手段(パッチやジェル)を用いることで、無精子症のリスクを軽減できる可能性もあります。
まとめ
エナルモンデポーは、効果が高い一方で、無精子症のリスクが伴うため、生殖機能を維持したい方にとって慎重な判断が必要です。治療を行う際には、専門医と相談し、副作用のリスクについて十分に理解した上で治療方法を選択することが重要です。
男性更年期障害を乗り越えるために、どのようなセルフケアを行いましたか?
まずは子供が生まれてからしばらくサボっていた(5,6年ほど)運動を再開しました。週に2回、約5kmのランニングと筋トレを続けています。
あとは朝20分程度の散歩をしたり、睡眠をしっかり取ることを意識したり、バナナを食べたりザクロジュースを飲んだり、食生活にも気を付けています。
運動、食生活、睡眠と、生活習慣の見直しがばっちりですね。わたしも、様々なセルフケアをしていますが、中途半端に終わったり(サボったり)、何だかんだ言って続かなくなったるすることが多いです。個人的にも、男性更年期障害の改善には、生活習慣の見直しがとても重要になると思うのですが、タケチさんのようにしっかりと取り組まれているコツや姿勢、考え方などがあったら教えていただけますか?
週に2回のランニングは、自分好みのランニング用のシューズや服、サングラス、イヤホンなどを買いモチベーションを上げて取り組んでいます。また、ランニングアプリで毎回タイムを測定して楽しむこともモチベーションアップにつながっていると思います。人間楽しいことは続けられますが、辛いことは続かないので、いかに楽しんで取り組めるかが継続するコツだと思います。
「楽しく続けること」本当にその通りですね。辛いことは続かないけれど、心から楽しめることなら続けられる、その言葉にすごく共感します。好きな道具を揃えたり、記録を取ったりと、工夫しながら楽しむのは、続けるコツですよね。これからも、無理せず楽しいセルフケアを続けてください。ちなみに、私は走ることがまるっきりダメなので、ランニングをする方を、心からスゴイと思っちゃいます。
今までで、最も効果的だった治療法やアプローチは何でしたか?
テストステロン補充療法です。
やはりテストステロン補充療法ですね。テストステロン補充療法には、エナルモンデポー、テスチノンデポー、テストロンデポーという3種の注射剤がありますが、タケチさんは、どの注射剤ですか?私は、エナルモンデポーです。最近、医療機関への供給が不安定(2024年10月現在)になっていますので、継続性(安定的に受けられるか)の心配がありますよね。
私もエナルモンデポー(250mg)です。3週に1度のペースで補充してもらっています。供給不足については私も日々心配していますが、今のところ病院の在庫が切れることなく毎回決まった日に補充することが出来ています。
同じエナルモンデポーを使用されているんですね。供給が安定していてよかったです。幸い、私も問題ない状況ですが、地域やクリニックよっては、不安定なので、今後も注視していきたいと思います。
続いてですが、新しい健康習慣やライフスタイルの変化はありましたか?
睡眠、運動、食事など、今までより健康に気を付けるようになりました。
全て大切だとは思いますが、その中でも特に気を付けている健康習慣はありますか?私の場合、様々なケアを実践してきた中では、運動習慣が最も効果(副産物含め)があると実感しており、一番気合を入れて取り組んでおります(笑)。
気を付けているという視点から考えると睡眠です。寝る1時間前あたりから、部屋を薄暗い状態にし、テレビやスマホなどのブルーライトは見ないようにしています。そして読書をしてリラックスし、寝るときには睡眠用のアイマスクと耳栓をして寝ています。最も効果があったという視点ではタツヤさんと同様運動です。体力がついて体が引き締まってくることが楽しくなり、今では体を鍛えることが趣味のようになっています。
ミドル世代のヘルスケアでは、睡眠は、基本のキですよね。私は、睡眠はテクニックでもあると思っているので、タケチさんが取り組んでいらっしゃる1時間前あたりから部屋を薄暗い状態にする、テレビやスマホなどのブルーライトは見ないようする、読書をしてリラックスする、アイマスクと耳栓など、どれもこれも共感です。特にアイマスクと耳栓は超おススメですよね。このインタビューを読まれている方は、直ぐに100均に行って購入してもらいたいです(笑)運動は、自分への最高の投資で、リターンも大きいですからね。とくに効果が目に見えてきたい、感じられたりしてくると、モチベーションにつながるので、好循環が生まれます。私も、筋トレにドはまりして、日夜“貯筋“に励んでおります。
職場での支えと理解─体調と仕事の両立を求めて
時には厳しい言葉を言われることもありましたが、時には励ましの声が支えに。体調と仕事をどう両立させたのか、そして職場での温かさに救われた瞬間を振り返ります。
男性更年期障害の症状が仕事や日常生活にどのような影響を与えましたか?
症状が一番重い時期は、肉体的にハードな仕事は他の人に代わってもらうなどして休ませてもらい、出来る範囲で仕事をしていました。プライベートでは心身ともに辛く、家族サービスをすることがほとんど出来ませんでした。
仕事や日常生活へ影響が出ることは、わかっていても辛いものですよね。
お仕事では周りの方のサポートがあったとのことですが、その時に特に支えになった仕事中(関係者)の言葉や行動があれば、ぜひお聞かせください。また、男性更年期障害に悩まされたタケチさんご自身の経験を通して、職場でのサポートの重要性について、今振り返って感じていることがあればお聞かせください。
私の場合は特に業務委託という形で仕事をしていますので、仕事に穴を空けることはそのまま減収につながるので辛かったです。ですので、体調的に難しい仕事のみ他の人に代わってもらうことにして出来る仕事は何とかこなして生活していました。優しく声をかけてくれる人もいれば、厳しい言葉をかけてくる人もいました。特にこれといった言葉はありませんが、優しく声をかけてくれた人の言葉はどれも精神的な支えになりました。男性更年期障害が広く認知され、職場での理解が深まれば、より働きやすい職場が増えてくるように感じます。
仕事と体調の両立、本当にお辛かったと思います。周りの支えがあったこと、救いになりましたね。厳しい言葉もあった中で、タケチさんを気にかけてくれた人たちの優しさが、どれだけの力になったことでしょう…タケチさんの頑張りを、きっとみんな見守ってくれていたんだと思います。これからも、ご自身のペースで無理なく歩んでいってくださいね。
また、プライベートで家族サービスが思うようにいかなかったとのことですが、その時期に家族との関係やコミュニケーションにどんな状況や変化があったと感じましたか?また、どのようにして家族と一緒に困難を乗り越えたか、具体的なエピソード等がございましたら、ぜひお聞かせくださいませ。同じような悩みを抱えている方々にも勇気を与えると思います。
体調が特にひどい時期は随分家族に気を使わせてしまったなと感じています。特に妻はインターネットで男性更年期障害について調べ、栄養面を考えた食事を用意してくれたり、漢方薬について調べてくれたりしました。私が子供たちを外に遊びに連れて行ってやれない分、妻が一人で子供たちの相手もやってくれていました。 本当に感謝しています。
ご家族の優しさに触れ、支えられていることが伝わってきました。パートナー(奥様)さんやお子さんが、どれだけタケチさんのために心を尽くしてくれたか、想像するだけで胸が温かくなります。これからも、ご家族と共に温かい日々を紡いでくださいね。
次はちょっと視点を変えて、男性更年期障害に対する社会の認識や理解について、どのように感じていますか?
あまり認識や理解はされていないように感じます。泌尿器科で男性更年期障害と診断されるまで、何人もの医師に診察してもらいましたが、男性更年期障害を疑う医師は一人もいませんでした。職場で診断結果を話したときも、人によっては「気の持ちようだ」「気合で乗り切れ」と言われることもありました。
社会的な理解がまだ少ない中で、男性更年期障害(診断結果)を周囲に伝えることが難しいこと(気持ち)もあったかと思います。悪気はなくても、心ない理解されていないような言葉を投げかけられたことは、本当にお辛かったのではないでしょうか。
『気の持ちようだ』『気合で乗り切れ』という言葉に対し、どのように対処(例えば、反論、説明、気持ちの整理、スルー等)されたのかをお聞きしたいです。
そういった声を受け流すためのタケチさんの対策や、もし今振り返って他の人にアドバイスをするとすれば、どのようなことを伝えたいですか?」
体調が悪いこともありましたが、スルーする以外の対処は出来ませんでした。そのような発言をする人に反論をしても理解されることはなく、ますますストレスがたまるだけのような気がします。私も得意というわけではありませんが、人の気持ちがわからないかわいそうな人なんだと割り切ってスルーすることが一番だと思います。
「スルーが一番」…本当におっしゃる通りですね。心ない言葉に反応するより、自分を大切にする方がよほど大事です。
それでも、男性更年期障害(診断結果)を周囲に伝えことで何か変化(タケチさんの気持ちも含め)があったり、その後でも少しでも理解してもらえた瞬間があればお聞かせください。また、男性更年期障害を周知することの大切さについても感じたことがあれば、ぜひお聞かせください。
男性更年期障害の影響でイライラして妻に感情をぶつけてしまうことが時々あるのですが、男性更年期障害の影響と割り切って素直に謝ることが出来るようになりました。妻もそれを理解してくれているので、あまり険悪な状態が長引くことはありません。もし、男性更年期障害ということがわかっていなければ、人間関係はどんどん悪くなっていたように思うので、やはり他人に周知してもらうことは大切だと思います。
周囲に知っていただくということは、やはり必要ですよね。私もそう思います。
続いてですが、家族のサポートはどのように役立ちましたか?
いつまで続くかわからない体調不良で、いろんなことに不安を感じていましたが、家族の存在が精神的に支えになりました。治療を開始して比較的早く快方に向かったのは、家族の存在が大きかったように思います。
身近にいる家族が、精神的な支えになることは、とても素晴らしいことだと思います。なによりも、安心できますし、心強いですよね。タケチさんの体調が優れない時は、きっとご家族もかなり心配されていたと思います。そのような中、どのようにしてお互いに支え合ってこられたのでしょうか?たとえば、タケチさんがご家族に気を使っていたこと、家族とのコミュニケーションや日常の中で心がけていたことなどがあれば、ぜひお聞かせください。
体調がかなり悪いときは、出来る限りひとりになるようにしていました。体調が悪い様子を見るのはあまり気持ちのいいものではないと思ったからです。食欲もあまりなかったので、食事も自分の部屋で、ひとりで食べることが多かったです。妻がせっかくがんばって作ってくれたのに、食が進まない様子をみせるのが申し訳なかったからです。
お気持ちわかります。体調が優れない時って、どうしても一人になりたくなりますよね。食欲がないことも仕方のない事です。きっとパートナー(奥様)さんも、わかっていらっしゃったと思います。
では、男性更年期障害を経験する中で、最も感動したサポートやエピソードは何ですか?
当時6歳と2歳だった私の子供が、自分の体調を心配してくれたことです。
体調が悪くあまり遊んでやれなかったのに、不満を言うことなく心配してくれたことに、自分の子供ながら優しい子だなと感動しました。
お子さんたちの優しさ、本当に感動的ですね。幼いながらも、お父さんの体調を気遣って心配してくれるなんて、それだけでも胸がいっぱいになりますし、ご家族の温かさが伝わってきます。お子さんたちがタケチさんを支えようとしてくれる姿、きっとタケチさんの心に強く響いたんじゃないかと思います。お子さんたちの優しさに触れたその瞬間、体調だけでなく心の面でも少しずつ前向きになれた部分があったのではないでしょうか?そういった経験を通じて、ご家族の絆がさらに深まったと感じた瞬間があれば、ぜひお聞かせください。
今まで以上に家族に感謝し、家族のことを考えるようになりました。今までは自分の仕事のことを中心に考えてしまい、家族ことは二の次になってしまっていましたが、これからは家族で過ごせる時間を大切に生活していこうと思っています。
すばらしい!の一言です。ぜひ、これからご家族と一緒に、穏やかな時間を過ごされることを心から願っています。
心の成長と変化─男性更年期がもたらした人生観の転換
以前は仕事一筋で走り続けた日々が、病を機に大きく変わり始めた。健康を見つめ直す中で、自分にとって本当に大切なものに気づいていく、その心の成長に触れます。
男性更年期障害を経験したことで、人生観や価値観にどのような変化がありましたか?
今まで仕事中心の生活を送ってきましたが、身体が健康であることが大前提だということに改めて気が付きました。お金をいくら稼ぐかではなく、いかに健康に人生を楽しめるかを考えるようになりました。
仕事中心だった生活から、健康の大切さに気づかれたというお話、本当に共感します。私もまったく同じ考えです。特に、男性はどうしても『仕事が全て』と考えてしまいがちですよね。でも、やはり身体が資本で、健康がなければ何も始まりませんから、その気づきは大きなターニングポイントだったんじゃないかと思います。どれだけ健康が大事か、改めて感じる瞬間だったことだと思います。
この価値観の変化を経て、人生の中で新しい目標や楽しみが生まれましたか?これまでにない発見や、自分の中での喜びを感じる瞬間があれば、それがどんなものであったか、詳しく聞かせていただけますか?また、この経験を通して、他の人に伝えたいメッセージ もあればぜひお聞かせください。
小さい目標ですが、年間500km走るということを目標にしています。現在は週2回、5kmのランニングをしていますが、このペースをキープ出来れば、年間500kmという目標が達成できます。小さい努力を積み重ねた先に今はまだ見えない大きな目標が見えてくるように感じています。もしかしたら将来的に、フルマラソンに挑戦したり、富士山に登頂する日が来るかもしれません(笑)。私も含め日本人、特に男性は収入面で他人と比較をしがちですが、男性更年期障害を経験した立場から言わせてもらうと、健康面やそれによる幸福度の方がもっと大切だと思います。体調を崩してしまう前にもっと自分の健康面に目を向けてみてほしいと思います。
500キロッ!全然小さくないんですけどっ(驚)!!!しかも、フルマラソン、富士山登頂と、凄すぎです。私には一生ご縁のない目標ばかりで、ただただリスペクトです。「健康第一」これにつきますよね。健康に向き合っている男性こそ、超魅力的だと思っております。
続いて、男性更年期障害を経験されて、自分自身に対する見方や感じ方にどのような変化がありましたか?
更年期障害なんて自分には関係ないと思っていましたが、どんなことも起こり得るのだなと改めて思いました。普段から生活習慣を整えたり、ストレスをためない生活を意識したり、予防を意識することが重要だと思うようになりました。
タケチさんも、まさか男性更年期障害が自分に起こるなんて…と思われていたんですね。私もまったく同じでした・・・。それでも気づいて生活習慣を変えられたのは、本当に素晴らしいことです。実際、同じように考えている中高年の男性はたくさんいますから、タケチさんの“どんなことも起こり得る”という気づきはとても貴重だと思います。人生に対する価値観にも大きく影響したのではないでしょうか?今、振り返ってみて、男性更年期障害を経験する前と後で、何か価値観に変化がありましたら、ぜひ聞かせていただけますでしょうか?
男性更年期障害を経験する前までは、とにかく仕事のことばかり考えていました。どうすればもっと仕事で結果を出せるか?どうすれば収入をもっと増やすことが出来るか?ばかり考え、けっこう無理をしていたように思います。しかし、男性更年期障害を経験した後では、仕事のことももちろん考えてはいるのですが、優先順位として自分の健康面を第一に考えるようになりました。片付いていない仕事があっても夜遅くまでやらずに切り上げる、休みの日は出来るだけ仕事のことは考えずにリラックスすることなどを意識しています。
今までのお辛い経験があったからこそ、いま、しっかりご自身の健康に向き合えている。とてもよい流れですね。ともすると、無理して体調崩しても、さらに無理して、悪化させてしまうミドル世代は少なくないですから。
支え合う家族との絆─困難を乗り越えた絆の深まり
「一人では、ここまで来られなかった」―パートナー(奥様)さんやお子さんたちとの絆が、タケチさんにとって最大の支えに。見守り、寄り添う家族との思い出と、その絆がどれだけ大きな力になったかを綴ります。
男性更年期障害を乗り越えるために、どのような新しい趣味や活動を始めましたか?
趣味、活動ではありませんが、今の仕事が一区切りつく来年の春に転職をする予定です。今まで個人事業主としてしっかりとした休みをあまり取ることなく生きてきましたが、自分や家族のことを考え、休みをしっかり取ることが出来、収入の安定している正社員として働く予定です。
転職を決意されたんですね。個人事業主としてお休みを取れない中で、しっかりご自身やご家族のことを考えて行動されるのは、本当に大きな決断だったと思います。きっと男性更年期障害を経験されたことで、これまでとは違う視点で仕事や生活を見つめ直す機会があったんじゃないでしょうか。転職を決められた時、男性更年期障害を経験していたことが、どのようにその決断に影響を与えたかをもう少しお聞きしてもいいですか?体調や精神面での変化が、仕事への考え方や優先順位にどのように関係しているか、教えていただけると嬉しいです。
もちろん正社員にもストレスはあると思いますが、個人事業主の場合、こちら側の立場が弱いので取引先の人間によっては顔色をかなり気にしないといけないことがかなりのストレスになっていました。報酬の未払いが発生した時など、仕事の内容以外の部分で気をすり減らしてしまい、仕事に集中出来ないこともありました。そのようなストレスがひどかった時期に男性更年期障害を発症してしまったことで、これからの働き方について深く考えるようになり、今回の決断に至りました。個人事業主は仕事をした分収入が得られ、そのことに関してはものすごくやりがいを感じていましたが、これからは仕事とプライベートのバランスを大切にして生活していきたいと思っています。
個人事業主のご経験は、必ず正社員という働き方でも活かされますから、他者にない強みを備えたことにもなりますし、より充実したワークライフが送れるのではないでしょうか。そして、“ワークライフ”バランス、いやプライベートをより意識した“ライフワーク”バランスが今後のキーワードですね。
来年春(2025年)転職後の新しい生活や働き方で、これまで以上に大切にしたいと考えていることはありますか?たとえば、もっと健康リテラシーを高める!家族との時間を大切にする!仕事の仕方や向き合い方を変える!などなど。
家族と外出したり、やりたくてもやれなかったことをやるなど、プライベートを充実させたいと考えています。前に正社員として働いていた時は、有給休暇を利用して少し長めの休みを取って遠出をしたり、興味のあるゲームをやったり、好きなサッカーチームの試合を観戦したりしていましたが、個人事業主になってからは仕事ばかりになり、ほとんどやることが出来なくなっていました。
プライベートの充実いいですね!正社員になられたら、有給休暇なども活用しつつ、様々なことにチャレンジできますね。
男性更年期障害を経験することで、どのような新しい目標や夢が生まれましたか?
自分のためにも家族のためにも、健康に人生を楽しむことが目標となりました。これからは男性更年期障害に苦しんでいる人のために、情報発信など少しでも役に立てる何かが出来ればと思っています。
「自分のためにも家族のためにも、健康に人生を楽しむ」素晴らしい目標です!それから、「男性更年期障害に苦しんでいる人のために、情報発信など少しでも役に立てる」といお考えも、心から共感いたします。今回、インタビューを受けてくださったのも、そのようなお考えからでしょうか?また、これから何か情報発信で取り組もうとなさっていることがあれば、差し支えの範囲で教えていただけますでしょうか?
今回インタビューを受けさせていただいたのは、タツヤさんのブログを見ている方に少しでも参考になればと思ったことがきっかけです。私は30代後半あたりから体調の変化を感じるようになったのですが、このくらいの歳から男性更年期障害を発症している人は少ないように思います。特に比較的若い段階から原因不明の体調不良に悩まされている人の参考になればと思っています。これから取り組もうと思っていることは具体的にはまだ何もありませんが、今回のようなオファーがあれば積極的に受けたいと考えています。
ありがとうございます!感謝、感謝です。最近男性更年期障害が少しずつ注目されるようになってまいりましたが、経験者のお話を聞く機会がまだまだ圧倒的に少ないです。当事者にとっては、クリニックなどの医療系の情報はもちろん大切ですが、経験者の実体験の情報がもっとも価値がありますからね。今思えば、私も苦しかったとき、経験者の話を聴けていたら、もっと参考にできていただろうなと思うことが少なくありません。あらためて、今回ご協力くださいまして、ありがとうございます。
経験からのメッセージ─同じ悩みを抱える方への力強いエール
「嘆くのではなく、前を向こう」―男性更年期障害を経験したからこそ語れるタケチさんの言葉は、苦しみの中にいるあなたの心にそっと寄り添います。
男性更年期障害を経験している他の男性に対して、アドバイスがございましたらよろしくお願いいたします。
積極的に情報を集めて、やれることはすべてやりましょう。私は男性更年期障害を経験したことで、今までより自分のことを考えるようになりました。男性更年期障害になってしまったことを嘆くのではなく、よりよい人生に変えていくためのターニングポイントだと思いましょう。
“嘆くのではなく、よりよい人生に変えていくためのターニングポイント”という言葉、本当に力強いと思います。男性更年期障害では、きっと多くの方が悩んでいると思うので、ご経験された方からの、そのメッセージは非常に心強いですね。
「やれることすべて」という視点では、ご経験から具体的に「このようなことはやったほうがイイよ」ということがあれば、教えていただけますか?
十分な睡眠、定期的な運動、朝の散歩は特に効果があったので、おすすめします。食事では、バナナ、ヨーグルト、ザクロジュース、納豆、チーズは毎日食べるようにしています。
食事も、セルフケアには欠かせない、重要なポイントですからね。私も、バナナ、納豆は、毎日欠かしません!
いままで、色々と男性更年期障害のご経験をお聞きしてきましたが、男性更年期障害を公にすることに対して、どのような抵抗や不安がありましたか?また、どのように乗り越えましたか?
私はあまり抵抗や不安はありませんでした。男性更年期障害も自分の個性だと考えています。
なるほどー!“男性更年期障害も自分の個性”と受け止められるなんて、とても前向きで素晴らしい考え方だと思います。多くの人が不安を感じる中で、そういった姿勢はきっと周りにも勇気をもってもらえるんじゃないでしょうか。
一般的には、男性更年期障害は、隠し事、秘密、など、ネガティブなイメージを持たれていると思います。そのような中で、“個性“という視点を持てるようになったきっかけみたいなものがあればお聞かせいただけますか?
私は昔から、自分のことを良いことも悪いこともあまり隠すことなく話すタイプだったので、きっかけというものは特にはありません。男性更年期障害についてもそんなに恥ずかしいものという感覚が初めからありませんでした。通常より男性ホルモンの分泌が少ないタイプなんだというくらいの感覚です(笑)。
すばらしい!ぜひ、ご一緒に、男性更年期障害をメジャーにしてまいりましょう!
人とのつながりが力になる─男性更年期障害の克服
家族以外にも悩みを共有できる“場所”がある。同じ悩みを抱える仲間とのつながりを見つけ、支え合うことで得られた安心感に触れます。
男性更年期障害を通じて、どのような新しい人間関係やコミュニティが生まれましたか?
インターネットを通じてタツヤさんのブログを拝見し、思い切ってタツヤさんご本人に連絡をしたことがきっかけで、男性更年期障害のグループLINEに参加することが出来ました。
身近なところには男性更年期障害を公表している人がいませんでしたので、このグループLINEでの交流は非常に大きな支えになっています。
いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます!そして、グループLINEでも一緒に交流できていることも感謝です。身近に男性更年期障害を公表している人が少ない中で、こうしたコミュニティが大きな支えになっているというお話、本当に嬉しい&励みになります。お互いに助け合える場を作れたことは、私にとっても大きな喜びです。
この新しいつながりが、タケチさんの生活や心などにどんな変化をもたらしたか、教えていただけますか?
今後このコミュニティ(グループLINE)がどのように成長していくと良いと感じますか?また、コミュニティ(グループLINE)に期待することがあれば、ぜひ教えてください。私も今後の運営に役立てたいですー。
同じ苦しみを持っている方々と交流を持つことで、男性更年期障害についての知識や改善法を学べたことはもちろん、仲間がいるという安心感を持つことが出来ました。現在も少しずつ男性更年期障害のパートナーを持つ女性の方が参加してこられていますが、今後はさらに男性更年期障害と少しでも関わりのある方々が参 加され、男性更年期障害の認知度が上がっていけば良いなと思っています。
ありがとうございます。これからも、様々なお立場の方が、お気軽に参加して、情報共有をしたり、励まし合ったり、弱音泣き言を共感し合ったりできる、そんなコミュニティ運営を心がけてまいります。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
最後にお伺いいたします。男性更年期障害を経験する中で、最も支えになった言葉やアドバイスは何でしたか?
特にこれといったものはありませんが、自分を気にかけてくれる身近な人からの言葉や、同じ男性更年期障害で苦しんでいる方々からのアドバイスはすべて支えになっています。
周りの人の気遣いや、同じような経験をしている方からのアドバイスが支えになっているんですね。やっぱり、一人ではなかなか乗り越えられないことも、誰かの言葉や存在で不思議と力が湧いてくるものだと思います。そういったつながりがあるからこそ、気持ちも少しずつ前向きになっていけるのかもしれませんね。
今まで、特に心に残った言葉やアドバイスがあれば教えていただけますか?日々の中で、ふと思い出して力をもらえるようなエピソードがあれば、ぜひお聞きしたいです。
メディアでお馴染みのひろゆきさん(西村博之さん)が言われていたことですが、「人間はいつか必ず死ぬのだから、人生はそれまでにどれだけ楽しむか、どれだけやりたいことをやるかという話でしかない」という言葉は心に強く残っています。これまでは仕事中心の生活を送ることで、楽しむことを犠牲にしてきてしまったので、これからは楽しむことを意識して生活していきたいと思っています。
「人間はいつか必ず死ぬ」これは、若い頃からわかっている事ですが、普段なかなか意識することはないですよね。でも、私も50を過ぎて、男性更年期障害に苦しんでからは、人生のカウントダウンを意識し始めました。なので、この言葉は私にもガツンと響きます。お互い、限りある時間を楽しんで、やりたいことをやって、人生を謳歌してまいりましょう。
タケチさん、今回のインタビューでご自身の経験を率直に話していただき、ありがとうございました。男性更年期障害という難しいテーマに真正面から向き合い、乗り越えてこられた姿勢には本当に尊敬の念を抱きます。家族やセルフケアを通じて、少しずつ日常を取り戻していくプロセスは、同じ悩みを抱える方々にとって大きな励みになるでしょう。
今回のインタビューを読まれている皆さんも、タケチさんの言葉や行動から新しい気づきを得て、自分や家族の健康について考えるきっかけになるといいなと思います。
何気ない日々の積み重ねが、これからの未来に繋がっていく。そのヒントが、このインタビューの中に詰まっていると思います。
本当にありがとうございました!
おわりに
改めまして、タケチさん、この度は本当にありがとうございました。
タケチさんの勇気と実直な言葉が、このインタビューを通して多くの方の支えになると感じています。
家族との絆を深めながら、日々を乗り越えてきた姿勢には心から尊敬の念を抱きました。
タケチさんの体験を聞きながら、男性更年期障害がもたらす試練と、それがもたらす気づきの大きさに改めて気づかされました。
予想外の診断に戸惑いながらも、家族や仲間の支えとともに、一歩一歩進むタケチさんの姿からは、「一人じゃない」という心強さが伝わってきました。
人生では、思わぬ困難に直面することもありますが、そのときに大切なのは、周りのサポートとともに自分を見つめ直すことなのかもしれません。
このインタビューが、同じような状況にいるあなたやそのご家族の心に、少しでも明かりを灯せれば嬉しいです。
どうかタケチさんの言葉が、これからのあなたにとって新たな気づきや前向きな一歩のきっかけになりますように。