読者インタビュー②:見えない敵との闘い!52歳男性が語る、男性更年期障害との壮絶な日々
「見えない敵」・・・更年期障害
更年期障害というと、女性特有のものだと考える人が多いかもしれません。
しかし、実は多くの男性も、この「見えない敵」と人知れず闘っています。
52歳のケンジさんも、メンタル不調など、他の病気の影響だと思い込んでいましたが、実は男性更年期障害が原因だったのです。
診断に至るまでの道のりは、原因不明の症状と戦い続けた苦しいものでした。
「すべての症状が合致したとき、心の中で“やっと見つけた”という感覚がありました。」と語るケンジさん。
このインタビューでは、ケンジさんの壮絶な経験を通じて、男性更年期障害の実態に迫ります。
治療の効果、仕事や日常生活への影響、そして、ケンジさんが今も続けているセルフケアの重要性まで、包み隠さず語っていただきました。
「これからもパートナーと楽しく過ごしたいという思いが、男性更年期障害を乗り越え、前向きに進むための支えでした。」・・・その言葉には、男性更年期障害という困難を乗り越えた確かな自信と希望が込められています。
あなたも、ケンジさんのようにこの「見えない敵」に打ち勝ち、希望に満ちた未来を手に入れることができるはずです。
ケンジさんのストーリーが、あなたの”その”第一歩となることを願っています。
ケンジさん、この度はお忙しい中、貴重なお時間をいただきありがとうございます。
今回、このようにご自身の経験をお話ししていただけることに心から感謝します。そして、ケンジさんがこれまでに向き合ってこられた困難や、それを乗り越えて今日に至るまでの険しい道のりに、深く敬意を表します。
今回のインタビューでは、ケンジさんが男性更年期障害とどのように向き合い、どんな経験をされてきたのかをお聞かせいただき、同じように苦しんでいる多くの男性や、そのパートナーの方たちにとって参考になるお話を伺えればと思っています。
男性更年期障害は、まだまだマイナーで、多くの方に知られていないのが現実です。結果、男性更年期障害で悩んでいても、周囲に相談できなかったり、周囲から理解されないで苦しんでいる方も少なくありません。
ケンジさんの体験談を通じて、少しでも多くの方が男性更年期障害について知り、早期発見や早期治療など、適切なサポートが受けられる手助けができればと考えています。
どうぞよろしくお願いいたします。
こちらこそ、どうぞよろしくお願いいたします。
インタビューに入る前に、ケンジさんのプロフィールをご紹介しますね。
ケンジ(本名)さん、52歳独身男性。東京都在住。
40代後半から心身の変化を感じつつも根本的な解決に至らぬまま過ごす。
泌尿器科で検査を勧められ、男性更年期障害と診断。
2週間に1度のホルモン注射療法を継続中(2024年9月現在)。
男性更年期障害?まさか自分が!
男性更年期障害があることを知ったのは、報道でのこと。若い頃には自分に関係するとは思わなかった。ケンジさんがその現実に直面した瞬間とは?
早速お話を伺ってまいりたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
ケンジさんが男性にも更年期障害があることを知ったのはいつ頃のことですか?
はらたいらさんが体調を崩された報道(当時は雑誌だったと思います)ではじめて耳にしましたが、はらさんが更年期障害で苦しんでおられたというよりはうつ病だったというインパクトのほうが大きかったです。
また当時は自分も若く、更年期障害のイメージすらほとんどなく、男女問わず「加齢による心身の変化そのもの」に対してもはるか先という認識でした。
その後も何度か目にしたり耳にすることはあったと思いますが、更年期障害の検査を受けるまで自分とは無関係のものだと思っていました。
なるほど“はらたいら”さんの報道がきっかけだったのですね。
若い頃には、まさか自分に関係するとは思わなかったお気持ち、よくわかります。
今振り返ってみて、当時から男性更年期障害についてもっと早く意識、詳しく知っていたとしたらら、現在の状況に何か変化があったと思いますか?
変化があったと思います。幸いにも持病がなかったため、例えば、めまいなら耳鼻科、倦怠感や意識低下、睡眠障害は心療内科という「それぞれの症状にのみ」対処していました。
ホルモンという身体全体を左右するものが原因ではないか、というところまで意識が及ばず、それが泌尿器科の領域であることも知りませんでした。
私は以前から泌尿器科にかかっていたのでそれでも検査し、診断されるまでは早かったかもしれません。
思いもよらない診断の道のり
メンタル不調から心療内科での治療を続けるも、症状が改善せず・・・最終的に泌尿器科で男性更年期障害の診断を受けるまでの道のりは意外なものでした
どのようなきっかけで、ご自身の症状が男性更年期障害ではないかと考え始めましたか?
2015年夏から心療内科で睡眠導入剤(ゾルピデム錠)と抗うつ薬(レクサプロ錠)を処方してもらっており、2022年春頃から顕著になった男性更年期障害の症状(のぼせ・発汗、倦怠感、意欲低下、性欲低下など)もうつ病によるものだと思っていました(のぼせや発汗はもともと汗かきの体質でした)。
2022年秋から泌尿器科で高血圧(アムロジピン)と前立腺の薬(タダラフィル錠)を処方してもらうようになりましたが、検査を受けるまでは男性更年期障害とはまったく考えていませんでした。
2024年2月にその泌尿器科で男性更年期障害を疑ってみては?とのことで検査を受けました。
長い間、男性更年期障害ではないメンタルの病気として考えていた中で、泌尿器科で男性更年期障害の可能性についてアドバイスを受けられたのですね。
今振り返ってみると、泌尿器科医の診断は非常に的確だったと言えますね。
ただ、診断を受けるまでの長い道のり、本当に大変だったと思います。
私も10年、原因がわからず、診断難民状態だったので、その辛いお気持ちわかります。
診断難民状態を乗り越えた今のりょうさんにとって、その経験はどのような意味を持っていますか?
また、男性更年期障害の診断を受けた後、最初に感じた感情(気持ちの変化等)や、実際に行動したことは何でしたか?
泌尿器科を受診したきっかけは「下腹部の違和感、突発的な尿意、残尿感」がきっかけでした。
エコー検査の結果、前立腺が肥大しつつあることがわかりました。
あわせて高血圧の薬も処方してもらうことになり、先生とのやり取りが重なるうちに検査に行きついたので、それまでの心身の不調の原因がわかるかもしれないという安堵の気持ちがとても大きかったです。
診断結果を聞いたときは、すべての症状が男性更年期障害のそれと合致していたので素直に納得ができ、一種の爽快感すらありました。
同時に、「どうしたらよいのか」という道筋もわかったような気がしましたし、「男性更年期障害」をあらためて調べてみるとたくさんの情報を得られました。
周囲の同年代以上の男性(上司、同僚、友人、知人、父親)に深刻にならないトーンで様子を聞いてみたりしました。
しかし、周囲には私ほど顕著に男性更年期障害の症状を経験している方はおらず、具体的に治療や対処について聞くことはできませんでした。
不調の原因がわかった時の安堵の気持ち、とても共感します。
人は、原因がわからないことに、不安感や恐怖感を覚えますからね。
原因がわかれば、対処法がわかります。
それだけで、希望の光が見えてきますからね。
日常が変わり始めた男性更年期障害のサイン
意欲低下、感情の起伏、性欲の減退・・・りょうさんが日常の変化を感じ始めたとき、それが男性更年期障害だとは思わなかった
最初に感じた男性更年期障害の症状は何でしたか?
意欲低下(楽しめていたことが楽しめない、仕事に対するモチベーション低下)、コントロールが難しいほどの感情の起伏(特にイライラや怒り)、性欲の減退です。
意欲低下や感情の起伏、性欲の減退といった症状に苦しんでいらっしゃったのですね。
これらの症状が日常生活に与えた影響は大きかったことでしょう。
どのようにしてその状況を受け入れ、前に進もうとしたのか、ぜひお聞かせください。
幸いにも持病や食品のアレルギーもない私にとり、はじめて食生活や生活習慣を見直すきっかけになりました。
同時に「加齢とはこういうことなのか」という心境でした。
前に進もうという大きな考えよりは、この状況をどうにかしたいという気持ちのみでした。
脱線するかもしれませんが、現在のパートナーが年下なので少しでも相手にとっても自分自身も楽しく過ごしたいという気持ちも大きかったです。
パートナーの存在は大きいですよね!
診断までの紆余曲折
コロナ後遺症や薬の副作用だと思っていた症状。男性更年期障害と診断されるまでの過程で感じたこととは?
男性更年期障害の診断を受ける前に、他の病気や原因を疑いましたか?
その際の医師の反応や、診断はどうでしたか?
倦怠感と意欲低下はコロナの後遺症(2022年11月に罹患)と抗うつ薬の副作用を疑いました。
ふらつきやめまいなどは高血圧の影響だと思いました。
泌尿器科の先生からふらつきやめまいは高血圧を原因としたものと考えにくいとのことで、一度男性更年期障害の検査をしてみようということになりました(2024年2月)。
1週間後の検査結果(遊離テストステロン値が6.1)から男性更年期障害と診断され、その場でホルモン注射(テスチノン250ml)を勧められ、迷うことなく処方を選びました。
確かにコロナの後遺症や、抗うつ薬の副作用も気になるところですよね。
先ほど伺ったご質問に対するケンジさんのお話にも関係するのですが、心療内科で治療をされている状況から、泌尿器科を受診するに至った経緯を伺ってもよろしいでしょうか?
泌尿器科は「下腹部の違和感、突発的な尿意、残尿感」がきっかけでした。
心療内科で診てもらっていた症状(意欲低下、倦怠感、睡眠障害など)がつながるとは全く思っていませんでした。
もし、もっと早く泌尿器科を受診していたとしたら、現在の状況はどのように変わっていたと思いますか?
いきなりホルモン注射治療というある意味「最終手段」ではなく、生活習慣(特に運動)と食生活を見直すことなどで経過をみて、腰をすえて対処できたかもしれません。
しかし、果たしてそのような対処で効果を感じることができたのか、自分が根気強く継続的に取り組めたのか、今となってはわかりません。
結果的には自分に最適の「タイミング」だったのだと思っています。
最適の「タイミング」として感じられていることは、とても素晴らしいですね。
生活習慣の見直しで試行錯誤・・・やはり筋トレはおすすめしたい
男性更年期障害と診断されるまでの間、生活習慣の見直しで試行錯誤した日々
男性更年期障害の診断を受けるまでに、男性更年期障害の症状に対処するために何か行動をしましたか?
規則正しい生活や食生活、運動は心がけましたが、それはあくまでもうつ病と高血圧に対してのことでした。
運動の習慣がなく、どの程度身体を動かすことでどのような効果が期待できるかもわからないままでした。
高血圧の症状も食生活や運動で劇的な効果がみられるものではないため、強い意欲をもって行動していませんでした。
規則正しい生活、食生活、運動は、男性更年期障害の予防改善には欠かせないですからね。とても素晴らしい行動だと思います。
振り返ってみて、当時もし他にできることがあったとしたら、何を試してみていればよかったと思いますか?
また、現状から見て、他の方に勧めたいことがあれば教えてください。
ジムに入会し、筋トレをすることをおすすめしたいです。
現在受けている「ホルモン注射」の費用とその診察料は月に換算したらおそらくジムの月会費と同じくらいですし(笑)。
最も辛かったのは、意欲と思考の低下だった
意欲低下と思考の低下は、日常生活や仕事に大きな影響を与えた。ケンジさんがこの症状とどう向き合い、乗り越えようとしたのか
数多くの男性更年期障害の症状の中で、特にお辛かった症状は何でしたか?
意欲低下と思考低下です。
意欲低下と思考低下の症状は、仕事や日常生活にどのような影響を与えましたか?
集中力が低下し、仕事でミスが増えました。
比較的私はお客様のことやお客様とのやり取りを覚えているほうでしたが、忘れっぽくなりました。
もともと体力があるほうではなく(虚弱体質ではないですが)、仕事などでハードな場面は気力で乗り越えてきた部分が大きいので、意欲がわかないのは本当に辛かったです。
情緒が安定せず、イライラすることが増えたため、それを抑えることで余裕がなくなり周囲とのコミュニケーションも不自然なものになっていったように(今、振り返ると)感じます。
集中力の低下などで、お仕事のミスが増えたのですね。とても、お辛い状況だったと思います。
これらの影響を少しでも軽減するために、今、ケンジさんがお持ちの男性更年期障害の知識を持っていたとしたら、どのような対応をしていたと思いますか?
また、同じ状況に置かれている方々に、どのような対処法を勧めますか?
これは業種、職種、社風、会社の規模、人間関係、その人のキャラクターによって対処のしかたが大きく変わると思うので、一概には言えないと思うのですが、「自分が当時そうしていればよかった」と思うことは、仕事の処理時間をそれまで以上に取るということです。
ミスをリカバリーする時間と労力、ミスをしたという自分自身の精神的ダメージを低くする意味でも、処理能力が遅い(遅くなった)と評価されてもそうすべきでした。
あとは、勇気をもって休む(または早退する)ということです。
これはそれまでの勤怠態度や職場の協力、信頼関係があってのことですが、周囲に「最近、様子がおかしいな」とわかってもらうという意味でも大切だと思います。
男性更年期障害が仕事に与える影響って、本当に大きいですよね。
L世代(男性更年期障害に悩む40代後半から60代前半の中高年男性)の方にとって、特に共感できる部分が多いと思います。
ケンジさんの実体験からのアドバイスは、同じような悩みを抱えている方々にとって「自分だけじゃないんだ」って感じられるきっかけにもなるんじゃないでしょうか。
読んでいる方も、ぜひ無理せず自分のペースを大事にしてもらいたいですね!
ホルモン注射の効果とその驚き
ホルモン注射を受けた翌日、劇的な変化が訪れた。疲労感が消え、意欲が戻った彼が感じた驚きとは?
男性更年期障害で受けた治療について教えてくださいますか?
泌尿器科でのホルモン注射(テスチノン250ml)です。注射のサイクルは2週に1回です。
テスチノンデポーなのですね。
ホルモン注射を受ける際に、治療に対してどのような期待や不安がありましたか?
また、治療を始める前に何か他の治療法を検討されたことはありますか?
テストステロン注射薬については、こちらの記事で詳しく解説していますので、よかったらご参照ください。
まさに「藁をもつかむ思い」でしたので、不安はありませんでした。
多少の副作用が出たとしても「この心身の不調や違和感が少しでも好転するかもしれない」という期待のみでした。
検査結果(遊離テストステロン値)が「世代別データがない(70代までしかデータはないようです)ほど低かった」ので、私にとっては「注射療法一択」という状況でした。
ホルモン注射の効果や副作用はいかがでしたか?
効果は翌日には実感しました!
特に倦怠感がかなりなくなり、何歳か若返ったような気分がしました。
意欲向上もみられ、不安感が減少しました。
今のところ気になる副作用もありません。
ホルモン注射の効果を感じられるのは、6割程度と言われていますので、翌日から効果を感じることができたとは素晴らしいです!
ホルモン注射の効果が感じられて、率直なお気持ちをお聞かせくださいますか。
久しぶりに「気持ちが鎮まった」ように感じました。
以前ならイライラしていたり、腹が立っていたようなことに対して落ち着いていることにも驚きましたし、「確かに、以前の自分はこうだったな」と思うことが増えました。
体調が改善して、客観的に自分自身を見つめられるようにもなってこられたのですね。
治療を選ぶ際の迷いと決断
ホルモン注射を選ぶことに迷いはなかったが、他の治療法についても検討を始めた。治療の選択におけるりょうさんの思いとは?
治療法の選択に迷ったことはありますか?
その際、どのような基準で治療を選びましたか?
ホルモン剤の注射に迷いはありませんでした。泌尿器科の先生のおすすめに従いました。
セカンドオピニオンやネットでの情報収集をする気持ちの余裕がなく、それほど気持ちが切迫していました。
最近になって、塗り薬も補助として処方してもらったほうがいいのかな、と検討しはじめました。
切迫したお気持ちの中、色々考えることが難しかった状況、お察しいたします。
私も、とてもつらくて、一秒でも早くその状況を抜け出したい気持ちだったことを思い出します。
現在、塗り薬の使用も検討されているとのことですが、それを考え始めたきっかけは何でしょうか?
コンスタントな効果を保ちたいと思ったからです。
2週に一度の注射も、あまりに仕事が忙しかったり、精神的に大きな負荷がかかった時期は2週間効果が持続しないことが2度あり、通院できなかったりするととても不安になることもあったため、注射は補助的にしたいと考えています。
そのあたりは、先生に相談に乗ってもらいながらゆっくり考えます。
私も、今でも数種類のテストステロン塗り薬を愛用しており、セルフケア(注射の補完)の観点からもオススメです!
男性更年期障害を経験して、生活環境や仕事環境、経済環境等にどのような変化がありましたか?
治療で「効果がでた」とはいえ、やはり心身の状態に波があることには変わりなく、仕事で大きな負荷がかかった時はとても肉体的に辛かったです。
不安定な心身の状態では全力で仕事にも取り組めず、常に全力を求められる社風で規模も小さい会社でしたので休職もしづらく、結局は退職することになりました。
そうだったのですね。治療の効果があっても、心身の状態に波がある中で仕事を続けることは難しいこともありますからね。
私も仕事が出来ずに休職した経験がありますので、お気持ちわかります。
具体的には、どのような時に一番辛さを感じましたか?
また、その時に何か対処法やサポートがあれば、仕事を続けられたと思いますか?
差し支えない範囲でお話を伺えればと思います。
あくまでも個人的な意見なのですが、一番辛かったのは勤務形態の変更(例えばリモートへの移行など)と配置転換が難しかったことです。
サポートに関しては、社会的にも周囲に理解を求めるのが難しい事例だと思いますし、
企業にとっても難しいことだと思います。私たちも証明しにくいことですし、「男にも更年期障害ってあるの?」と思う方がまだまだ多い中、しばらくは自衛してゆくしかないかもしれません・・・
働き方改革と言われてますが、働き方の多様性の視点で見ると、まだまだですよね。
職場の理解が得られなかった苦悩
更年期障害を職場で理解してもらうことは難しかった。サポートを得られない中で、ケンジさんがどのように対処してきたのか
仕事に影響が出た際、職場でどのようなサポートを得ましたか?職場の理解度はどうでしたか?
特にサポートは得られませんでした。
上司や管理職は同世代以上の男性ばかりでしたが、理解は得られませんでした(私からみると程度の差はあれど、更年期障害の症状と思われる様子をその方たちからも感じる点はあったのですが)。
男性更年期障害に限らずですが、理解してもらえないって辛いですよね。
そのような環境の中でも頑張り続けたケンジさんの努力には本当に頭が下がります。
振り返ってみて、その時にもっと助けが得られるような方法があったと思いますか?
診断書を発行してもらい、まとまった休みの取得を希望することで、周囲に「深刻さ」を伝えるべきでした。
男性更年期障害でも診断書は書いてくれるので、それは同感です。
家族や職場の方々に、男性更年期障害について理解を求める際、どのようなコミュニケーションを取りましたか?
口頭で状況(どのような症状でどのような治療をうけているか)を伝えるのみでした。
わたしは独身で両親とは別に住んでいるのですが、父親は男性更年期障害を感じたことはないようで(あったかもしれませんが、「加齢によるもの」程度にしか感じていないのかもしれません)、「体調がすぐれないのか・・・」という程度の認識のようです。
身近な家族に伝えるというのは、簡単なようで難しいところもありますよね。
家族の受け止め方を振り返ってみて、もっと辛い状況や困っている状況などを理解してもらうには、こうしておけばよかった、このような伝え方が出来ていればなど、もっと出来たことがあったのではないかと思うことはありますか?
こうしておけばよかった、と思うまではまだ考えがまとまりません。両親にはこのまま黙っていようかとすら思っています。
パートナーには診断結果、治療方法などすべて話せていますので、それは本当にありがたいです。
なにより、日ごろからのコミュニケーションが大切だと思いました。
たまに顔を合わせる程度ならその瞬間は無理してでも明るくふるまえますから、「いつも(これまで)とは違うな」とすら感じてもらうことも期待できませんし。
家族など、周囲の身近な方々からの理解を得られることで感じられるメリットはなんでしょうか?
最大のメリットは「こんな状況の自分も生きていていいんだ」と感じられることではないでしょうか。
正直、理解してくれているかはわかりませんが、少なくとも認識してくれていることに心から感謝しています。
「こんな状況の自分も生きていていいんだ」・・・
そう思える事って、とても力になりますよね。
セルフケアで取り戻した活力
ジョギングや筋トレ、食生活の見直しで彼は活力を取り戻した。セルフケアの効果を実感した瞬間に迫る!
現在、セルフケア(生活習慣の改善など)など、取り組んでいることはありますか?
運動(ジョギングと筋トレ)、規則正しい生活、量より内容の食生活(タンパク質や鉄分を多くとり、炭水化物は控えめにする)です。
素晴らしい取り組みですね。
これまでを通じて、今後も続けたいと思っているセルフケア、また、新たに試してみたいセルフケアがあれば教えてください。
運動習慣と適度に節制した食生活は続けます。
男性更年期障害に対してのみならず、やはり気分爽快になりますので。
セルフケア(生活習慣の改善など)で、効果のあるものがあれば教えてください。
運動(ジョギング)と筋トレ→とても身体が軽くなり、朝身体が動かないということはなくなりました。炭水化物を控えめにすることで倦怠感が減少してきたように感じます。
私は、男性更年期障害の予防改善にはセルフケアは欠かせないと考えているのですが、セルフケアを疎かにして治療(薬)に頼っている方も少なくありません。
ケンジさんは、実際にセルフケアに取り組まれていらっしゃって、どのように思いますか?
充実感がまったく違うと思います。天候などにも左右されますが、外を走ったり、歩くことで生きている実感が湧きます。
食事に関しても、これまで素通りしていた食材や調味料にも興味が広がることで、他の方がどんな生活をしているかにも関心が広がります。
その観点でみると女性のほうがQOLを大切にしている発信をしている方多いように感じました。
運動療法や食事療法言われるぐらい、男性更年期障害では運動や食事が大切です。
わたしも、男性更年期障害の予防改善を目的に筋トレやヨガに取り組んでおりまうので、運動は特に推奨しています。
ネットワークが心の支えに
ネットを通じて仲間とつながることで孤独感が和らぎ、気持ちが楽になった。ケンジさんが見つけた心の支えとは?
今、男性更年期障害に悩んでいる方々へ、何かメッセージをお願いできますでしょうか。
加齢とともに心身の「変化」はあるもの、症状や程度は個人差が大きく、まだまだいけると思っている世代にあっては、「自分が弱っていっている」ことを認めるのは本当に辛いです。
心の支えを失うことにも等しい気持ちにもなります。
また、自分がそうであったように、「体質」や「持病」の範囲内で判断をつけてしまいがちですが、更年期障害は別物です。
友人、知人に軽くこのような「変化」を話題にすると、多少なり同調する人もいますので、深刻にならない程度に情報交換することは気分転換にもなり、情報交換になります。
それが難しい場合、ネットやラインなどで「自分だけじゃない」という気持ちをもつことも大切だとおもいます。
「自分が弱っていくことを認めるのは辛い」「心の支えを失うに等しい」という言葉がとても心に響きます。
それでも情報交換やネットでのつながりが心の支えになったとのこと、本当に大切なメッセージだと思います。
ありがとうございます。
これまでに同じような経験をされた方(友人・知人)との交流で得たものや、その経験がどのように心の支えになったか、もう少し詳しく教えていただけますか?
「しんどいのは自分だけではない」と思えたことは大きな助けになりました。
「適度な運動」の程度も分かったのも助かりました。
一方、症状の個人差も大きく、仕事の面においてはサポート体制の差を感じることで逆に落ち込むこともありました。
当時のご自身に伝えたいアドバイスがあれば、それはどのようなものですか?
ネットなどで自分の症状をいろんな角度からチェックすればよかったです。
しかし、まさか既に通院している泌尿器科での検査で道が開けるとは思いませんでした。
その先生のおかげです。
場所柄ビジネスマンが多いので様々な症例に対処されてこられた同世代の男性の先生だからという点も大きかったと思います。
我ながらよく頑張ってきたと思います(笑)。
泌尿器科の主治医が男性更年期障害の可能性を示唆してくださったのは、本当にラッキーですよね。
多くの方は、男性更年期障害の症状に苦しめられても、男性更年期障害や泌尿器科と言ったキーワードに辿り着かないことも少なくありません。
これが、診断難民の始まりです。
この診断難民を回避するのはどうしたらよいと思いますか?
ケンジさんのご経験から、ぜひお考えをお聞かせください。
40代以上の健康診断の項目に加えることを提案したいです。
タツヤさんがされているような認知活動が広がってゆくことで、「男性更年期障害への理解促進週間」的なイベントも開催されるようになると思います。
男性更年期障害の専門コミュニティはコチラからどうぞ
男性更年期障害に向き合う上で、特に大切だと感じることは何ですか?
「同性だから、同年代だから理解してもらえるはず」ということはなく、ホルモンの動きの変化による心身の変調は女性のほうが理解してもらいやすい面があるので、その点でもいろんな情報とネットワークを保つ姿勢が大切だと思います。
周りに心配かけまいと軽い感じで伝える場面も多々ありますが、そうすると周囲から「たいしたことないんだ」と思われてしまうという別の心配も生まれますので難しいところなのですが、このあたりは社会の理解が促進されることを願うしかないと思います。
先日、アメリカ人の友人(55歳男性)が私と同じくらい汗をかいており、自分のことを話すと彼も同様に更年期障害で苦しんでいると打ち明けてくれました。
つたない英語でのやり取りでしたが、難しい状況を分かり合える貴重な体験でした。
地域差もあると思いますが、殻に閉じこもらず、「自分だけではない」と思うことがなにより大切だと思います。
同性や同年代の理解が必ずしも得られるわけではないという現実がある中で、様々な情報とネットワークを保つ姿勢が大切だと感じていらっしゃるとのこと、私もその通りだと思います。
これまでに培った情報やネットワークがどのように役立ったか具体的な事例を教えていただけますか?
私がタツヤさんが主宰されるサイトやグループラインを知ったのは治療を始めた後でした。
運動や食生活の具体的な情報を得ることができ、後ろめたい気持ちや孤立した感覚を払拭できました。
同時に、通院しているクリニックと先生が男性更年期障害の治療にかなり積極的で良心的であることがわかり、安堵しました。
男性更年期障害のネットワークは限られているので、様々な視点での関わりって本当に大切ですよね。
アメリカのご友人の貴重な体験談をお聞きになられたのですね!本当に貴重な体験だと思います。
もし差し支えなければ、そのご友人の男性更年期障害の状況(症状や治療等)についてお聞かせいただけますか?(欧米諸国では男性更年期障害に関する理解が進んでおり、様々なケア方法が確立されています)
彼の症状は「のぼせと発汗」「意欲低下」が顕著なようでした。
治療法はホルモン注射のみだったように思いますが、薬品名などは覚えていません(申し訳ありません)。
ただ、印象としては、日本よりもかなり高額だと感じました。
今日のお話の中で、『自分だけじゃない』と思えることや、情報を共有する大切さが伝わってきました。
多くの方が、ケンジさんの経験を通じて勇気をもらうことと思います。
今回はたくさんのお話を聞かせていただき、本当にありがとうございました!
ケンジさんの体験を通して、男性更年期障害について改めて学ぶことができましたし、きっと同じように悩んでいる方々にも大きな力になると思います。
これからもご自身のペースで健康を保ちながら、前向きに進んでいかれることを心から願っています。
またお話できる日を楽しみにしています!